12
部屋に入ってきたシンは緊張した面持ちだった。
普段ならからかうところだけど、あいにく今のわたしにはそんな余裕などもちあわせていない。
「あ、あのさ…そ、その、なんだ………」
シンはわたしの前に座るものの目を泳がせ、なかなか話を切り出さない。
その態度からわたしの考えが合っているということを思い知らされる。
わたしはシンの彼女じゃない、それどころか恋愛対象として見られているかも分からない。
……でも、もしシンがかがみと付き合ってると言ってきたら、
今日だけはシンを罵ってもいいよね?
今日だけはかがみに恨み言を言ってもいいよね?
明日から元のゆる〜い私に戻るから…いいよね………?
ピピッ!
時計が二十八日を迎えたことを知らせてくる、これだけ凹んだ誕生日を私は迎えたことがない。
「あ、あのさ、こ、これ………」
シンはラッピングされた箱を私の側に置いた。
どう見てもその中には結婚式の招待状が入ってるにしては大きすぎる。
じゃあ、直接私に言うんだろうか?
シンにとっては嬉しい報告、私にとっては残酷な報告を。
「誕生日おめでとう、こなた。それはオレからの誕生日プレゼントだ」
「……へっ?」
私は予想を全くしていなかったシンの言葉にマネケ満開の声を出す。
「なんだよ……オレがお前の誕生日を忘れてるとでも思ったのかよ?」
「えっ…あっ……いや〜よ、予想以上にそれっぽい物が出されたんで驚いたんだよ」
少しうわずっているもののなんとかいつもの軽口で答える私。
そんな私の答えにシンはこちらをジト目で睨みつける。
「お前なーバカにするな!!」
「開けていい?」
シンの言葉を聞かずに私ははやる気持ちを抑えられずに私は箱を開けた。