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私は何言ってるんだろう………
わざわざ嫌われるような言葉を吐いて何がしたいんだろう………
こんなんじゃ本当にシンに嫌われちゃう…本当にシンが怒って、別れよう、そう言って来たら………
そう思うとまた涙が込み上げてきた。
なんで、どうして、こんな事になっちゃうのよ………
今日はシンと楽しく旅行に行くはずだったのに………
「いやまあその通りだしな」
言葉に弾かれたようシンの方を見ると困った顔をしながら頬を掻いていた。
「気にする事ないだろ? オレは現にお前が心配でこうして見舞いにきてるんだし、的外れじゃないと思うぞ
それにオレは嬉しいんだ」
「……なんで?」
「オレが必ず来る、それってお前がオレを信頼してくれてるって事だろ?」
「信頼…ありきたりな言葉ね」
私はなんとかいつもの感じでシンの言葉に鼻で笑う。
「でも効果はあっただろ?」
シンの言葉に私は笑って頷く。
いつかやった言葉のやり取り、あれから一年以上経つんだ………
「オレもあの時お前の言葉が凄く嬉しかった。だから今度はオレが………」
そうあの時は今と逆の立ち位置だった
あの時私はシンの落ち込んでる姿をみたくなかった
きっとシンもあの時の私と同じ事考えているのだろう
「あんまり話してると長引くからな、オレはそろそろ帰るよ」
自分で言った言葉が恥ずかしくなったのか、シンはぶっきらぼうに言う。
私達は本当に不器用だ、お互いがお互いの事を想ってるはずなのに普段は言えなくて、
片方に何かが起きると、もう片方が思いを伝えて励ます
最初からお互い思いやりの言葉を言えば、いらない喧嘩をしなくていいのに…もっとも私達はそれがお似合いなのかもしれない