7
「待って」
私は帰ろうとするシンの手を掴む。
「明日予定ないんでしょ?
……だったら…今日はここにいて………」
「何言ってんだ? みきさんやただおさんが怒るだろ」
「大丈夫よ、私から言うから」
「そうじゃなくて、お前が怒られるだろ? オレの事知らないんだから」
シンは元々異世界から来ていて、そこで遺伝子を改造したコーディネーターという種族なため風邪を引かないらしい
だがそれを知ってるのは私を入れてごく限られた人しか知らない。私の家では知ってるのは私を除けばつかさだけだ
だからシンは私の事を心配してくれた。
でも、今は、今日は、そんな事どうでもいい
ただ、シンと一緒にいたい、側にいてほしい
だから今日の私は何時も以上に強情だ。
「手を繋ぐだけならいいでしょ?」
「なんかいつもと違って積極的だな」
「こういう私はイヤ?」
私はわざと不安そうな顔をする、シンそれが分かっていて、首を横に振ると優しい笑みを浮かべる。
「いいや。ただオレはいつものかがみの方がもっと好きだから、一刻も早く治ってもらいたいな」
「一緒にいてくれたら、早く治るかもしれないわよ?」
風邪の影響からか、普段は恥ずかしくてはとても言えない言葉が次々と出てくる。
「分かった、今日はそばにいる、約束だ」
シンは大袈裟に肩を竦める。それは呆れからくるのではなく、照れ隠しという事はいくらなんでも、自惚れではないだろう
「じゃあ安心して寝ろ、オレはここにいるから………」
たまには風邪を引くのも良いかもしれない
こんなにシンと近くになれるから、私はシンの恥ずかしそうな顔を見ながらそんなズルい事を考えていた。
〜 F i n 〜