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かがみの行動はオレを狼狽させるものだった。
起きたと思ったらいきなりかがみは泣きながらオレに謝ってきたからだ
オレは謝られる様なことはしてないし、泣かす様なこともしてないはずだ
もっとも後者にいたってはそれほど自信はないけど………
どうもオレは無意識の内にかがみを傷つけてしまっている事が多い
ただ今回は本当に思い当たるのが全く浮かばなかった
それなのにかがみは懺悔し続ける。
「ごめんなさい…ごめんなさい…私嫌な女よね…せっかくシンがやっとの事で都合付けてくれたのに………」
「ハァ?」
かがみの言葉にオレは思わず疑問の声を上げる。
かがみが嫌な女の子なんて思った事がない
逆にオレには勿体なすぎる彼女とは何度思ったか………
「旅行の事か? 気にするな、お前の体が1番大事だ」
かがみの言葉からすると謝るとしたらこの事だろうけど
オレからしたらかがみと一緒にいれればどこでも良かったんだが、責任感が強いかがみの事だ、もの凄く気にしていたのかもしれない
「今は休め、な?」
「違うの! そうじゃないの!! 私シンが見舞いに絶対来るって思ってたの!! シンとの約束破ったのに!!
シンは絶対来るって、シンは絶対私を捨てないって自惚れてるの!!」
かがみの首を振りながらの告白をオレは黙って聞いていた。
きっとかがみはオレ以上にこの旅行に行くのを楽しみにしていたんだろう
だからその反動でこんなに動揺してるんだな………
そう思うとかがみがさっきよりも随分小さく見えた。