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「みゆき」
昼御飯を食べ終え、ミスコンのクラス代表を辞退しに行くために職員室に向かっていた私はその途中で、
見慣れた後ろ姿を見つけ声をかけた。
「あっ、かがみさん」
「どこ行くの?」
「はい、ミス陵桜コンテストで必要なプロフィール用紙をもらいに職員室まで」
そういえば桜庭先生もそんな事言ってたわね…という事は………。
「出るの? ミスコンに?」
「は、はい、お恥ずかしながら………」
みゆきの性格からして自分から立候補するとは思えないし、誰かに推薦されたとしか………。
「……こなたね………」
「はい、推薦されてしまいました」
みゆきは怒る様子なく、ただ困った笑顔をするだけだった。さすが聖人君主。
「かがみさんの方こそどちらに行かれるのですか?」
「私も一緒よ。もっとも私は―――」
「かがみさんも出られるんですか!?」
私が説明し終わる前にみゆきが嬉しそうに私の手を握ってくる。
「えっ、私は――」
「かがみさんが一緒だと心強いです。頑張りましょう!!」
ど、どうしよう…本当の事言いづらい雰囲気になってる…でもこのままだと………。
みゆきには悪いけどここは鬼にならないと!
「うん。頑張りましょ」
かくして私はミス陵桜コンテストに参加する事になった………。
「なんや柊も出るんかいな?」
「はぁ、なんか流れ的に………」
私は曖昧な返事を返して、黒井先生からプロフィール用紙をもらう。
「提出期限は明後日までや。他に何か質問はあるか?」
そう言われて私とみゆきはプロフィール用紙に目を通す。
「あ、あの…3サイズも書くのですか?」
「そこらへんは任意や。自信あれば書き込んだらええで」
「い、いえ! そ、そんな………」
みゆきの質問に黒井先生は笑いながら手をヒラヒラさせて返す。
助かったー。自分でもスタイルが格別に悪いとは思ってないけど、
3サイズとかは他人に知られたくない…ましてやあいつに知られると思うと………。
「柊どした? 顔が赤いで?」
「な、なんでもありません!!」
私は慌てて手を振る。
な、なんであいつがここで出てくるのよ!? もーこれもあいつのせいよ!!
「後は…そや。ミスコンで着る衣装用意しときや」
「衣装………」
「ですか………?」
「ミス陵桜を決めんねんから綺麗な女ときらびやかな衣装は必須やろ? 男共を骨抜きにしたるんやで!!」
そんな事出来ませんって。笑う黒井先生に私は心の中でツッコミを入れた。