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「……あの…悪かったな」
「なにが?」
こなたはオレを試すかのように尋ねてくる。
「かがみに話した事黙ってて…それと…かがみにオレのいた世界の事話して………」
こなたは前にオレが過去の事を別の人に話すのを嫌がっていたから、それがこなたが怒っている原因、オレはそう考えた。
はぁ〜
溜め息が1つ漏れる。したのはこなただった。
「分かってない、分かってないよ〜シン」
「な、何がだよ?」
「別にわたしはシンの行動の全てに報告を受けたいわけじゃないし、行動を束縛する権利もないのだよ。
過去の話はシンがかがみに話したいと思ったし、かがみもそれを望んだんでしょ?」
「ああ」
オレはそこにためらう事なく頷いた。
「だったらわたしが文句を言うことはないよ」
「じゃあなん―――」
「ただ、……過去の話をした時かがみを泣かせたでしょ?」
「な、なんで分かるんだ?」
かがみの性格上泣いたとは自分からは絶対に言わないはず………。
「金曜日シンが強張った顔で帰ってきて、その日から今日まで明らかに口数が減っていた。
それでつかさに聞くとかがみが金曜の夜から絶食。そして二人の性格から考えると…ほら」
「よくそこまで分かったな………」
「そりゃ分かるよ、二人のことは。わたしはシンとこの世界で一番長い時間一緒にいるんだし、かがみとはシンより長く付き合ってるもん」
「お見それしました」
そう言うこなたの顔は自慢気で、オレはただ苦笑を浮かべて頭を下げるしかなかった。
「で、かがみはシンの過去を聞いてどうだったの? 受け入れてくれたの?」
「ああ。オレがこの世界にいるのを認めるってさ」
「……そっか」
かがみが言ったところを想像したのだろうか、こなたはオレを見て微笑む。
「……だから、なんで怒ってるんだよ?」
怒る理由が過去の話をした事でもないのだったら、もはや思い浮かばない。
「あーだから………」
オレの質問でこなたは怒ってることを思い出したらしく、珍しく目を見開いてオレを指差す。
「かがみを泣かせたことで怒ってるの!!
かがみって普段は凶暴だけど、本当は心が繊細で落ち込みやすいんだよ!!!
泣かしたり、傷つけたりしたらダメだから、分かった!?」
さすがに長い付き合いだけあって、かがみの事をよく分かってる発言だ。確かにそうなんだが………。
「お前が言うか?」
「わたしとかがみんのはスキンシップだからいいんだよ♪
てなわけだから、分かった? 空気読めない子?」
「わ、分かったよ………」
オレが全面的に悪いのは分かってるんだが、かがみ本人にならともかく、
こなたにここまで言われるのはどうにも腑に落ちない…少しくらいは反撃をしたい。
「ああ、そうだ」
ドアの前まで来たオレは180°反転してこなたの方を向く。
「なに? どうしたの?」
「……こなた、お前って何気に友達思いなんだな」
「うっ………」
オレの指摘にこなたの顔が赤くなる。
「う、うるさーい! 早く出てけ!!」
こなたの投げた枕が当たる前に、オレは素早くドアを閉めた。