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「う、う〜ん………」
私は呻き声を一つ上げて目を開ける。
目に入って来るのは、見慣れた天井…そっか私の部屋か。
保健室であいつとの会話が終わってから、私は家に強制送還されていた。
私は伸びをするために上体を起こす。
「!?」
その時、手が湿った物を掴む。その感覚に驚いてそっちを見ると枕があった。
「……泣いてたんだ私………」
でも不思議と気分はすっきりしてた。恐らく見た夢が良かったのね。
「……あいつとまだ話せるのよね………」
何気なく呟いた言葉、ほっとしたらまた涙腺が緩んでくる。
「良かった…本当に、良かった………」
あいつとまた一緒にいられるんだから………。
ぐ〜きゅるきゅる
どうやら私のお腹は私に嬉しさの余韻を許してはくれないらしい。
「だ、だって、仕方ないわよ! 家に帰った時におかゆ一杯しか食べてないんだし!」
誰もいないのに、真っ赤になって言い訳する私。
しかしほんとにやばい
ここ二日の絶食と精神的な重荷への解放で私のお腹がかなり食べ物を欲している。
ちらっと時計を見ると昼の二時を指していた。
この時刻だとお母さんはまだ買い物に行ってないはず(もっとも倒れてる私がいるし、買い物に行かない気もするけど)。
「なんか作ってもらお」
私はベッドから出て、少しおぼつかない足取りで一階に向かった。
「あっ、かがみ倒れたんだって?」
「もう動いていいの?」
「うん、大丈夫」
居間にはまつり姉さんとお母さんが何やらカタログを見ていた。
「もうこれからあんな事はしないでね。皆心配したのよ」
「……はい、ごめんなさい………」
「はい。もう解決したいみたいだから、もう大丈夫ね。
お腹空いてるでしょ? 何か作ってくるわね」
お母さんは立ち上がると台所に向かう。
さすがはお母さん。私の事は全てお見通しか。