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「そう言えばあんた、さっき初めて話したって言ってたけどこなたは?
あんたの過去を知ってるんじゃないの?」
かがみはさっきのやり取りで疲れたのか、ベッドに体を寝かせながらオレに聞いてくる。
「こなたはなんでか知ってたな〜。
理由聞くと『凹むからダメ』とか言われてさ。
だから初めて話したってのは本当だぞ」
不思議な事にこなたは、あの世界での事を部分によっては生きてきたオレよりも知っているところがある。
それも機密である軍の事、特にMS。
その理由をあの手、この手で尋ねるんだけど、未だにこなたの口を割らせる事は出来ていない。
「へ〜どうりで下手くそなモノローグと思った」
かがみはその時の事を思い出してるのか、皮肉が混じった笑みを浮べる。
「し、仕方ないだろ!? 言う機会なんて今までなかったし。
じゃあオレからの質問いいか?」
「いいわよ。どうぞ」
「もし、さっきオレが本当にお前を殺そうとしたらどうしてんだ?」
「え〜と…あんたがそんな事するわけないと思ってたし」
オレが椅子から倒れそうになるくらい、かがみはケロリと答えた。
「オレをそんなに信用に出来るのか?」
「『信用』じゃないわよ、『信頼』してんのよ、あんたを」
「……ありきたりな言葉だな」
「でも効果あったでしょ?」
鼻で笑うオレにかがみが優しい微笑みで返す。
確かに嬉しいけどな………。
「ただやっぱりそれは過大評価だな。オレのせいでお前は倒れちまったんだし」
「気にしないで、私もあの時さっきみたいにちゃんと言えれば良かったんだし。
それに結果的に痩せれたし♪」
「バカ! 痩せるとやつれるは違うぞ!」
「うっ…だって、だって………」
がら
「あのーお話、終わりましたか?」
オレとかがみのいつも通りのケンカが始まる前に、天原先生が顔を覗かせる。
「あ、まあ………」
「はい。すみません、先生を外に出してしまって………」
「いえいえ。それよりもアスカ君いいんですか? もう授業始まってますよ?」
「えっ?」
天原先生に慌てて時計を見ると、2時間目が始まってすでに20分が経っていた。
「うわ、やべー! 天原先生失礼します!
かがみ絶対安静にしとけよ」
「はい、さようなら」
「うん、ありがとう」
2人からの返事も最後まで聞かずにオレは保健室を出た。
確か2時間目は体育だ。あの先公すぐにキレるんだよな〜。
オレはスピードを上げて廊下を走り抜ける。
その介あって、なんとか罰として校庭20週程度の罰で済んだ。
安いもんだ…かがみと再び笑えるんだから。