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「ほなこの問題を…アスカ」
「……………」
「アスカ!!」
「えっ?」
「おのれさっきからどこに意識飛ばしとんねん!!」
黒井先生がそう言うやいなやオレの頭に激痛が襲った。
「ったく、ポンポン殴るなよ………」
オレはさっきの授業で殴られた頭を擦りながら、一人愚痴る。
まあ授業聞いてなかったオレも悪いけど………。
集中した原因は自分でも分かっている。かがみだ。
今日の朝かがみはオレ達のクラスに顔を見せなかった。
来れなかったのか、それとも来たくなかったのか………。
それならオレからかがみのクラスに行けばいい話なんだけど、土日の雨はオレの決心を完全に鈍らせていた。
このままオレとかがみは話が出来ないまま卒業しちまうのかな………。
「シンちゃん、ごめん今いいかな?」
顔を上げるとそこにはつかさが不安げな顔で立っていた。
「シンちゃんお願い! お姉ちゃんになにか食べるように言って!」
「何かってかがみは何も食べてないのか?」
「うん…土曜日から水しか飲んでないの………」
土曜日からという言葉にオレはドキッとする。
かがみの行動はどう考えてもオレのせいだからだ。
「お姉ちゃん、お母さんやわたしが言っても聞いてくれないの…でもシンちゃんが言ってくれたら………」
「母親のみきさんや妹のお前が言っても聞かないのに、オレの言葉をかがみが聞くと思うか?」
かがみは母親であるみきさんを尊敬してるし、妹のつかさをとても大切にしてる。
その2人の言葉ですら聞かないのに、かがみを説得するのはオレでは不可能に近い。
何よりオレのせいでかがみはそんな事になってしまったのただから………。
「うん、お姉ちゃんはシンちゃんのこととっても信頼してるし………」
「信頼………」
「だからお願い!!!」
つかさは今にも泣きそうな顔で頭を下げる。
オレには出来ない、とはつかさには言えなかった。
「……分かった、昼休みにかがみに話してみる」
「……シンちゃん…ありがとう!!!」
かがみを苦しめてるだけでも、十分過ぎるほどなのに、
つかさにあんな顔をさせてしまって何もしなかったら、オレは本当の大馬鹿野郎だ………。
「柊の妹はいるか!?」
オレがつかさの頭を撫でようと手を伸ばしたその時、大きな声で教室に入ってきたヤツがいた。
「く、日下部さん!?どうしたの?」
「柊が倒れた!!」
「えっ!?」
「今は保健室で休んでんだけど………」
「つかさ行くぞ!」
「えっ、う、うん!!」
オレは動揺してるつかさに声を掛けると、保健室に走り出した。