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「かがみ、今日もよね?
シン君とは何処まで進んだの?」
学校から家に帰ると、お母さんがニコニコしながら聞いてくる。
「ただダイエットに付き合ってもらってるだけで何もないわよ」
「あら、そうなの?
昨日かがみが足腰立たなくなってるから、てっきり………」
「な、な、何言ってんの!? シンはそんな事………」
「ええ。かがみを守るって言ってたのにいきなりそんな事するわけないわね。
シン君は大切なものは必死に守ろうとするわよね、そんな優しさにかがみは惹かれたんでしょ?」
私を見るお母さんの顔は満面の微笑み。
からかわれている。そう分かっていても私には反論できない。
……だってこの人は私達のお母さんで、私達の恋のアドバイザー、適う訳がない。
お母さんが言うようにあいつは、大切と分かった人は必死に守ろうとする。そして、それをなくすのを恐れている節がある。
……やっぱりそれもあいつの過去に関係があるのかしら?
「お母さん、あのね………」
私は言葉の途中で押し黙る。
これは私の問題。本当は私一人で答えを出さないといけない…でも、今の私にはいくら考えても答えが分からない………。
だから………。
「私、シンの事をもっと知りたいの!!! ……でも話してこない事聞いたら、嫌われちゃうかな………」
お母さんは私が言葉を吐き出すまで、何も言わず、笑顔で見ているだけだったけど、
全てを聞くとゆっくり瞬きをしてから、言葉を紡いだ。
「シン君にとってかがみは大切な人のはずよ。だから大丈夫だと思うわ。
ただ、シン君自身から話さないということは、シン君にとって話したくない事だと思うの。
だからそのことを聞くのはかがみ、あなたは相当の覚悟が必要だわ」
「……覚悟………」
私はお母さんからの言葉を呟き、頷く。
「ありがとう、お母さん」
「ちょっとアドバイスしすぎたかしら。つかさに怒られちゃうわね」
そう言ってお母さんは笑顔で私に内緒のポーズをしてみせる。
大人の魅力と子供っぽい可愛さを持っているお母さん。
……ほんと、ライバルじゃなくて良かった………。
私は普段信じていない神様に心から感謝した。