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「ふぅ、到着っと…現在時刻は…21時…よし、予定通り」
さて、柊家に着いたはいいけど…こんな時間に家に行ったら、かがみは女の子だし家族の人に変な誤解を受けないか?
「……まあ、今更か」
少し考えてからオレは呟く。
昨日今日の知り合いじゃないし、それに結局誘うことになるんだったら少しでも早く始めて終わった方が、家族も安心するだろうしな。
オレはそう結論づけるとインターホンを押した。
『はい?』
「シンですけど、かがみ――」
『はいはーい♪ ちょっと待っててねー今呼んでくるから』
インターホンに出たのはみきさんだった。
どうやらかがみから話は通じているらしい。
しかしみきさん、えらく機嫌良さそうだったけど、何かあったのか?
「お待たせー」
いつもの髪形じゃなく髪を後ろに束ね、ジャージを着たかがみが家から出てきたのはすぐ後だった。
「それじゃ、気をつけてね」
「うん、大丈夫」
「オレがかがみを守りますから」
「あら、頼もしいわね。
それじゃシン君、かがみをよろしくね」
「はい」
しかしかがみもみきさんもオレがかがみを襲うとか全く考えないのか? ……いや、そんな事は絶対にしないけどさ。
まさかオレは男として見られてないとか?
「何してんのよ? 先行くわよ」
そう言うとオレを置いて走り出すかがみ。
「ま、待て、かがみ! 1人で行ったら危ないぞ!」
「今のあんたの顔のほうが危ないわよー♪」
オレの心配する声にかがみは笑って軽口を返す。
……いや、かがみもみきさんもオレを信用してくれてるんだろ。だったらオレはその信用を裏切らないだけだ。
「だから待てよ!」
オレは少し先を走ってるかがみに向かって走り出した。