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「ん、なんだよ、かがみ?」
パソコンを見ずに、何かを言いたそうにしてるかがみにオレは声を掛ける。
「えっ!? な、なんでもないわよ! なんでも!!
そ、そう! あの中であんたのオススメのダイエット方法は何か聞こうと思ったのよ!」
「知るかよ」
「へっ?」
オレの即答にかがみの目が点になる。
「そもそも絶対にヤセる方法があるんだったら、方法が100も200もあるわけないだろ」
「うっ…正論なんだけど、なんか悔しいわね………」
オレの言葉に渋々かがみはパソコンの方に向かった。
「シンさん、ありがとうございました」
「皆決まったのか?」
「はい。私はお風呂でできるマッサージを中心にやっていきます」
「ウチはこれにするわ。『139隊長のブードキャンプ』、
『グウレィトブードキャンプ』より厳しいらしいけど、うちに合ってるっぽいしな」
「ふーん。かがみは何にしたんだよ?」
「ふっふっふっ、これよ! これ!」
かがみは自信ありげにプリントアウトしたものをオレに見せる。
それは一定期間同じ物しか食べないというダイエット方法だった。
「食べながらヤセれる、これこそ理想のダイエットー♪」
「おいおい」
「うふ、うふふふふふ――」
当然オレの声も聞こえておらず、翼はなくても空を飛べるほどにかがみは舞い上がっていた。
「あかん、アスカ。柊はお前が見張ってやり…あれは失敗フラグや」
黒井先生がオレの袖を引っ張り耳打ちをする。
「ピノばっかり食べるとかでもいいのかしら♪」
「……ですよね…仕方ないか………」
オレは未だに舞い上がっているかがみを見て溜め息を吐いた。