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「遅くなってごめん」
「いえ、私達も先程来たばかりですし」
あいつからの呼び出しで私達は放課後、パソコン室に呼び出されていた。
「じゃあ始めるぞ」
私達が揃ったのを確認すると、あいつはパソコンの電源を入れた。
「ねぇ、こんなとこにわざわざ呼び出さなくても、プリントアウトして配れば良かったんじゃないの?」
私の提案を聞くと、あいつはなぜかじろりとこっちを睨みつける。
「へーあんたはオレが膨大なプリントを持って登校しろ、とそう言うんだな?」
「えっ、いや…その………」
「ほらほら喧嘩すんな」
黒井先生の仲裁により、あいつはディスプレイの方に視線を戻す。
「えーと、このフォルダーに…はい、どうぞ」
あいつは席を黒井先生に譲り、私とみゆきはディスプレイを覗き込む。
そこには大量のダイエット方法が………。
「アスカ? これどれ位あるんや?」
「100種類です。方法を個別にクリックすると『運命くん』が説明してくれます」
「『運命くん』というのはなんなのですか?」
「……簡単に言うと、案内役と思ってくれ。大体の事は答えれるようにプログラミングはしてある。
ホントは音声を使いたかったんだけど、ちょっと時間がなくてな」
「これ一晩でやったの?」
「ああ、お前らがやれって言ったんだろ?」
あいつの不機嫌全開の顔から出た答えに私は舌を巻く。
こんな事を一晩でするなんて、不可能に近いのは私でも分かる。
時々あいつは私達を驚かす特技を見せるけど、本当にあいつは昔何をやっていたんだろ?
それを聞いたらあいつは恐らく怒る。それは初対面の時に経験済みだ。
でも、それでも、私はあいつの事が………。