「なかなかナイスなリアクションだな」

「ほんと」

 彼氏の言葉に笑って頷く。

 小さい子がサンタクロースに会ったみたいな顔で、つかさは私達を交互に見ていた。



「お姉ちゃんたち、どうして………?」

 相変わらず、勘の鈍い子ね

 理由なんて一つしかないのに

「決まってるでしょ?」

「つかさ誕生日おめでとうな」

「えっ、ふぇ? あ、ありがとう………」

 未だに呆然としているつかさに私の彼氏が誕生日プレゼントを渡す。

「気に入るといいんだけどな」



「うわぁ〜これ知ってるよ!

 とっても使いやすいって有名な調理器具のだよね!」

 さすがその道を目指しているだけあって、補足説明をしなくてもつかさは箱に彫られているロゴで分かった様だ。

「ありがとう〜大切に、大切に飾っておくね!」

『使ってください』

 私と彼氏は全く同時につっこみを入れた。



「さて、今のはオレとかがみの分だ

 そしてこれはかがみ」

「う、うん………」

 うう〜改まって渡した事ないから、変に緊張してきた

「ほら」

 私の彼氏はやや緊張している私の肩を軽く押す。

 はいはい、らしくなくて悪かったわね

 そんな事を心の中で言い返していると、緊張が解れてきた。



「つかさ、誕生日おめでとう」

 私は持っていったケーキが入った箱を渡す。

「これ、お姉ちゃんが………?」

「ああ、教室に通ったりしてな、一人で作った。オレが証人だ。

 つかさ、悪いけどここで少し味見してくれないか? 気に入らなかったら作り直すから」

 こっちを見てくるつかさに私は頷き、そしてつかさも小さく頷く。



「いただきます………」



 少しの沈黙。



「つかさ、どう………、!」

 私達は絶句する、顔を上げたつかさは涙を流していたからだ。



「お、おい、かがみ! お前、何入れたんだよ!?」

「ちゃ、ちゃんと作ったわよ!?」

「サッカリンとか劇物とか入れたんじゃないんだろうな!?」

「そんなわけあるか! そもそもそんなのがあんたの家になかったでしょうが!?



 混乱する私達。

 おかしい、ちゃんと作った

 最低でも涙を流すくらい不味いなんて事は………

 どうしよう、まさかこんな大事な場面で失敗しちゃった………?



「――しいよ」

「えっ?」

「すっごく、おいしいよ………、わたしこんなおいしいケーキ初めて食べたよ………」

 そう言ってつかさは子供みたいに泣きじゃくる。

 なんか懐かしいわね、この感じ

「驚かせないでよ」

 私はつかさの頭を撫でる。



 久しぶりに双子の姉に戻った気がした。





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