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食卓に並んでる豪華な料理。
今日の為にお母さんが腕を振るって作ってくれたんだよ。
「うわ〜何々、なんかあった?」
「まつり、あんた冗談よね?」
「分かってるよーつかさ、誕生日おめでとう」
おいしそうなにおいに呼び出されちゃったのか、あっという間に家族のみんなが揃う。
……ううん、一人だけいない 一人だけ
「では、改めましてつかさ、二十歳の誕生日おめでとう!」
『おめでとう!』
「ありがとー」
今年はいつもと少しだけ違う、一人の誕生日。
「つかさもついに二〇歳か〜月日がたつのって早いわね」
「やだわ、いのり。そんな事言うのは年を取った証拠よ」
「いのり、いい人は見つかったのかい?」
「うわっ、藪蛇………」
「あはは」
それでも家族のみんなから祝福されて、楽しい、嬉しい誕生日。
でも、やっぱり………
「しかし今年の誕生日は質素だね〜ケーキはないし
かがみもいな―――」
「まつり!」
「あっ………」
家族の視線がわたしに集まる。
そうなの、この場所にお姉ちゃんはいない。
きっと今頃お姉ちゃんは大好きな彼氏さんの家。
そこで誕生日をお祝いされている。
寂しくない、って言ったら嘘
今までずっと誕生日を同じ日に祝ってもらってきたんだから
でもね、悲しくはないよ
だってお姉ちゃんは今、とっても幸せだもん
お姉ちゃんが嬉しかったら、わたしも嬉しい
お姉ちゃんが幸せだったら、わたしも幸せ
だってわたしたちは双子だから、この場所にいなくても繋がってるから
「そんなこと―――」
「まつり、お母さんの料理が質素ですって?」
「えっ、あっ…いや………」
わたしがそう口にしようとする前にお母さんが喋る。
そしてお母さんはわたしの方に優しいまなざしを向けてくる。
「それにね、ケーキもありますよ
ちゃーんと専門の人が作ったケーキが」
「えっマジ?」
「まさか都内の一流店とか?」
お母さんの言葉にわたし以上に目を輝かせるお姉ちゃんたち。
でもそんな立派なケーキわたしだけ食べちゃったら、お姉ちゃんに悪いかも
ピーンポーン♪
「あら、来たみたいね。
つかさ、悪いけど取りに行ってくれるかしら?」
「はーい」
わたしは立ち上がると、玄関へと向かう。
そうだ、少しだけお姉ちゃんに残してあげよ〜
……でも、その場合きっとわたしの分を残さないといけないよね………
ううん、でもお姉ちゃんの誕生日ケーキでもあるんだし………、ってなことを考えてる今のわたしって、ちょっとお姉さんっぽいかも
「えへへ………ほぇ?」
玄関のドアを開けた先にはケーキ屋さんや宅配員さんみたいな人はいなかったの
変わりにいたのは―――
「ど〜もデスティニー運送です」
「ケーキ、届けに来たわよ」
わたしのよく知ってる人たち