こなたの言い出しはいつも突然だ、それが最近ようやく分かってきた。

 分かってきた、と言っても慣れてないし対処の仕方も分からないから、あまり意味はないけど



「ああ、そうだな」

 ここで否定するのは一緒に住んでるこなたがいるから不可能。そして事実オレはこの後予定がない。

 かがみとはこなたの次くらいに話てはいるけど、かといってどこかに行くほど親しくはない。

 その証拠にかがみの方も困惑した表情を浮かべてる。

 しかしかがみの性格上、変に断ったら喧嘩になるのは経験済み。

 さてどうしたもんか?



「まあ、しゃーないか。今日は諦めるか」

「待てよ」

「えっ?」

「オレが空いてるのに無視かよ?」

 かがみが目を見開いてオレを見てくる。だけど信じられないのはオレの方だ。

 言うまでもなくオレは断る気でいた。

 なのに、かがみが強がった後の一瞬見せた寂しげな顔を見たら、気づくとあんなことを口走っていた。



「本当に行くの?」

 今更出した言葉を引っ込めることもできるわけがなく、オレは仕方なくかがみの言葉に頷く。

「お前が頑張ってたのは知ってるからな」

 事実かがみはこの試験期間、寄り道に付き合わずにまっすぐ帰っていたし、みゆきと一緒に自習室に残っている時もあった。

 ハメをはずしたいという気持ちも分かる。だからオレと行くことになりそうなのにかがみはどこか嬉しそうに見えた。



「そ、そこまで言うんだったら、付き合ってあげてもいいかな」

「頼んできたのはあんただろ」

「うるさいわね!」

 かがみの怒声の後ろでこなたが『フラグゲット』と謎の言葉を放って、親指を立ててきたのが見えた。





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