2
「……かがみ………」
オレは自分の寝言で眠りから醒めた。
自分でも起きるくらいの寝言だ、きっと隣のかがみにはさぞうるさかっただろう。
「ありがとうシン」
謝る前にかがみの言葉が先に来た。
オレは言葉を出しそびれ、引き続き目を瞑る。
「感謝してる」
何に? むしろ感謝してるのはオレの方だ。
異世界に来たオレの全てを受け入れて、さらに生きる意味を教えてくれたんだから
でもそれを言葉に出せなかった。
今言ったらルール違反の気がした。
「シン、大好き」
その言葉に自分の顔が赤くなるのが分かる。
かがみがオレを好いていてくれるのは、態度や行動からは充分に分かっているけど、
こうやって素直に言葉に出されると恥ずかしい。けどもちろん嬉しい。
かがみの淀みのない声に、やっぱり言葉って大切なんだなって実感させてくれる。
「大好き」
回される手。
薄目を空けるとそこにはかがみの姿。
恋人になって、それらしいことをやってきたはずなのに未だに胸が高鳴る。
やっぱりオレは、この自分と少し似ていて、全く違う強さを持っている女性に首ったけなんだな。
すっげー悔しい。でも認めるしかない
「オレもかがみが大好きだ」
寝息が聞こえて来てからの言葉はルール違反じゃない