「……かがみ………」

 オレは自分の寝言で眠りから醒めた。

 自分でも起きるくらいの寝言だ、きっと隣のかがみにはさぞうるさかっただろう。



「ありがとうシン」

 謝る前にかがみの言葉が先に来た。

 オレは言葉を出しそびれ、引き続き目を瞑る。



「感謝してる」

 何に? むしろ感謝してるのはオレの方だ。

 異世界に来たオレの全てを受け入れて、さらに生きる意味を教えてくれたんだから

 でもそれを言葉に出せなかった。

 今言ったらルール違反の気がした。



「シン、大好き」

 その言葉に自分の顔が赤くなるのが分かる。

 かがみがオレを好いていてくれるのは、態度や行動からは充分に分かっているけど、

こうやって素直に言葉に出されると恥ずかしい。けどもちろん嬉しい。

 かがみの淀みのない声に、やっぱり言葉って大切なんだなって実感させてくれる。



「大好き」

 回される手。

 薄目を空けるとそこにはかがみの姿。

 恋人になって、それらしいことをやってきたはずなのに未だに胸が高鳴る。

 やっぱりオレは、この自分と少し似ていて、全く違う強さを持っている女性に首ったけなんだな。

 すっげー悔しい。でも認めるしかない



「オレもかがみが大好きだ」

 寝息が聞こえて来てからの言葉はルール違反じゃない





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