機嫌の悪い日



 バイトで嫌な客とあったり

 バイクが故障して突然の出費が出たり

 悪夢をみたり



 そんなことがあって、週が明けた月曜日は最悪の日だった。



「ちゃんとやってきたんでしょうね?」

 通学時のいつもの待ち合わせに来たオレに、かがみは開口1番で聞いてくる。

 その上からの物言いは今のオレにはカチンとくるものだった。



「やってるかよ」

 だから吐き捨てるように言ってやる。

「はぁ!? やってない………?」

「ああ、やってないね」

 オレの答えにかがみの顔色が変わっていく。

 こんなにかがみが怒るのは珍しい。



「あんた、何してたのよ!?」

 そして予想通りの大音量の爆発。

 視界の端で、こなたとつかさがオレ達から離れていくのが見えた。



「ちゃんとやれって言ったでしょ!? 何してたのよ!?」

 反論する気も今日は起きない。

 だからといってオレの怒りは収まらない。

 なんでこいつにここまで言われる筋合いがあるのか?



「遊んでる場合じゃないのは分かってるでしょ!? 受験生なのよ!?」

「うるさい!」

「うるさくないわよ!」

「いい加減にしろよ!!」

 ぎゃあぎゃあ叫いてるかがみに声と目で黙らせる。



「あんたはオレのなんだ? 母親か!?」

「そ、それは………」

「ちょっとばっかし、オレのことを知ったくらいで分かった気にならないでほしいね!」

「っ!」

 かがみの顔が今度は赤から、蒼白へと変わる。

 それを見てオレは、自分が大変なことを言ってしまったことに気付く。



 こんなのただの八つ当たりだ

 かがみはオレのことを心配して色々と世話をしてくれているってのに





「じゃあ、じゃあ! ……勝手にしなさいよ!! 勝手に元の世界にでも帰ったら!?」

 そしてかがみは言ってしまった。

 言ってはならないことを



「それができたらとっくにやってる! こんなところにいるもんか!!」

 冷静になった血が再び沸騰する。

 いくらかがみでもこれは許せない

 オレはかがみの方を見ずに学校に向かった。



 当分かがみとは話す気にはなれなかった。





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