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誰もいない教室。
こなたが考えついた案はありきたりなもんだった。
かがみに用事を頼んで、その間にこなた達は帰宅。後はオレとかがみ2人だけでどうにかする。
確かに今までそんな感じでなんとかなってきたのも多い。
だけど今はなんというか、どうかがみと会話をすればいいのかが手探り状態。
「あれ、皆は?」
「先に帰った」
教室に入ってきたかがみと会話するも、やっぱりぎこちない。
「……そう」
「……ああ」
そして会話終了。
オレ達には似合わない沈黙が2人を包む。
「ふぅ」
かがみは手近な席に腰を落ち着ける。
今のため息は、オレに対するものなのかもしれない。
ひょっとしたら、かがみはオレが思っている以上に怒っているのかもしれない。
本当に身勝手なオレに対して呆れてしまったのかもしれない。
でもそれだったら、かがみはもう1人で帰ってるはずだ
それは楽観的な考え方。
それが不幸に繋がるのをオレは戦場というところで体感してきた。
それなのにオレはそんな考えを捨てることはできなかった。
理由はいくつもあるけど
ただ現状は厳しいと認めざるをえない。
本当に分からない、オレはかがみに何をしたらいいんだ?
きっとかがみにそのことを話すことができたら、きっと呆れ果てるはずだ
がらがら
「まだ残ってたんか、今日は点検で業者がくるから早帰れ」
沈黙は突然、そしてあっさりとオレの担任である黒井先生によって終わりを告げた。