私はシンと対等な関係になりたい

 それはただの幻想

 いつもシンの方が、私を助けてくれているから

 だからこれは私の意地

 つまらない意地



 でもいつまでも全部シンに甘えてたら、私はシンと一緒に歩いてる資格はない

 そんなんだったら、元恋のライバル達に合わせる顔がない



「だから、私もっと勉強しないと」

 震える声でシンにそう告げる。

 それが精一杯。とてもシンの方を見れない。



「だから私、大学院に進みたいの」

 言った後に部屋は静寂に包まれる。

 逃げ出したいくらいの沈黙。



 シンはきっと怒ってる

 言わなきゃ、言わなきゃ



 ずっとシンといたい

 弁護士になれたらシンと



 言葉に出しそうになる衝動をなんとか抑えつける。

 そんな提案はあまりにも自分勝手すぎる。



 弁護士になれる保障もない

 何年かかるかも分からない



 シンを縛りたくない

 シンは自分自身の為に生きてほしい

 ずっと他人の為に頑張ってきたシンだから



 それを邪魔するんだったら、離れた方がまだいい





「かがみ」

 名前を呼ばれ、体が強張りそうになる。でも、その前に



 私はシンに抱き寄せられた。



「ごめん」



 優しくなんて全くない

 強く痛く、抱きしめられる。



 ずっと一緒にいたから分かる

 シンは怒ってる



「また困らせた」



 私にではなくシン自身に





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