6
ちょっと考えればすぐに分かるはずだった。
そもそもかがみが弁護士志望だったなんて、付き合う前の高校時代から知ってるし、その情熱を今まで何度も見てきたはずだ。
オレも少しでもかがみの力になりたくて、弁護士について調べたことだってある。
だから知ってるはずだったのに
オレとかがみはいつも対等だ
どっちかがへまをしたり、弱くなったりはするけど、この関係が崩れたことはなかった。
それがオレとかがみの誇れる関係だ。
でも社会人のオレと学生のかがみが結婚して、一緒になることになったら
もしオレがかがみの立場だったら、絶対にかがみと同じ態度を取るはずだ。
分かってたはずなのに
「オレ、かがみのことなんも考えてなかった」
かがみを抱き寄せたまま、オレは呟くように懺悔をする。
「相変わらずひどいな」
胸の中でかがみが少し動く。
頷かれた
「嫌われて当たり前か」
今度は小さく横に振る。
この後にどう言葉を掛けるか
それ次第でかがみはオレの元を離れてしまう
もちろん、そんなことは絶対にするわけにはいかない
「待ってていいか?」
結局選んだのは短く、未練タップリの言葉。
オレがそう思ったんだから、かがみもそう思ったんだろう
「かっこ悪い」
辛らつな言葉を投げかけて、かがみはようやく頭を上げる。
目は真っ赤に腫れてるくせに、家に来た時とは違って瞳にはいつものかがみの勝気な色が浮かんでいた。
だから今のかがみはオレを見つめてくるというより、睨みつけてくるといった方がピッタリだ。
「そんなかっこ悪いやつは、私みたいなかっこ悪いのと一緒にならないと、だ、駄目でしょ………」
なんだかわけの分からない理論を言うと、かがみは再びオレの胸へと沈んでいった。
よく見ると髪の隙間から少しだけ出ているかがみの耳は真っ赤だ。
思わず笑みがこぼれる。
そんなオレの様子を感じたのか、かがみがオレの胸を叩く
笑うなってことだろうけど、それは無理だ
可愛いお前が見れたんだぞ?
それと
お前と離れずにすんだんだからな
〜 F i n 〜