ピーンポーン♪



 目覚ましの鳴る前にオレは叩き起こされる。



「こんな朝早くに誰だよ!?」

 前日のことも加わってオレの機嫌はいきなりMAX状態の悪さだ。

 だけどそんな状態はドア越しからの光景に吹き飛んだ。



「かがみ、どうしたんだよ!?」

 オレは即座にドアを開けて恋人を迎え入れる。

 時間的に考えれば始発の電車で来たに違いない

 でもなんでこんな時間に来たのかそれが分からない



「お願い、理由を聞いてくれる………」

 今にも消え入りそうな声のかがみ

 時々見る、凄く弱そうなかがみ

 オレにしか見せない姿のかがみ



 フラレたとはいえ、好きなやつにこんな顔をされたんじゃ



「ああ」

 聞く、以外の選択肢がオレには浮かばなかった。





「私、弁護士になりたい」

 コーヒーをテーブルに置くと同時にかがみは、小声で、でもはっきりと言った。

 そしてオレもかがみの夢は知ってるからはっきりと頷く。



「でも、その為には大学の、四年間じゃ足りないの

 ううん、もっとかかるかもしれない………」

 それだけ言うとかがみは下を向く。

 そしてかがみの顔には光るもの



 そうか



 ここまで来たらさすがに鈍いオレでも分かる

 そしてかがみがあの時浮べた困惑な表情の意味も





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