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リビングは2人もいるのに静かだった。
聞こえてくる音はオレの雑誌と、かがみのラノベをめくる音のみ。
でも別に息苦しいなんて思っちゃいない。近くにかがみがいて、かがみを感じる事が出来る。それだけでオレの心は満たされていた。
しかし人の欲とはきりがないものだ。
少し前からオレは自身の理性と戦っていた。
原因はもちろんというか当然というかかがみだ。
かがみが足を組みかえる、その度にオレの視線はかがみの足へと言ってしまう。
しかも今日のかがみは生足にスカート、おまけにかがみの座り方には色気がある。
どうやらかがみは自分がそんなに魅力のある座り方をしてるとは思っていないらしい。タチが悪いというか、素晴らしいというか。
これで目のいかないやつはおかしい!
もっともそんな目でかがみを見たらオレが黙っちゃいないけどな。
取りあえずそんな色気たっぷりのかがみの前にオレはさらされているのだ。
さすがに今襲い掛かるというのはいくらオレとかがみが恋人同士とはいえ、ダメだ。
しかし、このままだとオレの理性が………。
このままかがみとこうして静かな時間を過ごしていたいけど、もはや背に腹は変えられない。
オレはやむをえず、テレビのリモコンに手を伸ばした。
テレビは何やら大きな神社の巫女の1日を追うというものだった
「巫女って凄く大変そうだよな」
オレもかがみの家の神社で(不本意ながら)巫女のバイトをした事があるけど、
さすがは本職、何かと仕来たりやら、儀礼といった面倒臭いものを学ばなければいけないらしい。
当然といえば当然だけど、かがみは今の番組になんの興味も示していない。
それどころか、額にしわを寄せてるところを見ると二人っきりの雰囲気をぶち壊してしまったオレに腹を立てているのかもしれない。
「なあかがみ、お前も出来るのか?」
もとはといえば、オレが二人っきりの空間を潰したのだ。罪滅ぼしの意味合いを兼ねてオレはかがみに尋ねる。
しかしかがみは答えずに相変わらず、眉をひそめている。
これは怒っているか、拗ねているかのどっちかだ。
「なあーかがみどうなんだよ?」
オレは後者と判断した。
きっとオレがかまってやらないから、こんな行動を取ってるんだ。
「で、出来ない事はないわよ………」
かがみの答え方からオレの考えが当たってると確信する。
普段は強がってるけど、かがみはとても寂しがり屋だ。
でも安心しろ。オレがいる限りあんたに寂しい想いなんてさせないさ。
だからオレに寂しい想いをさせないでくれよ
「ホントか!? すごいな!!」
かがみの機嫌を取るためってのもあったけど、オレは素直に感嘆の声を上げる。
同い年なのにあんな小難しいのが出来るんだから、大したものだ。オレなら速効で放棄するだろう。
「べ、別に、た、大した事じゃないわよ………」
かがみが髪を遊ぶのは照れた時の癖である。
努力家なのに見栄っ張り
勝気なのに照れ屋
素直じゃないくせに心優しい
どの表情も魅力的だ。一体オレにどれだけの表情を見せてくれるのか。
かがみはオレを厭きさせてはくれない