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倦怠期、それは恋人同士では必ずといっていいほど訪れてしまう期間。
私とシンは付き合い始めて一年以上が経った。しかし例によらず倦怠期というのが一度も来ていない。
未だにシンの顔を見るとドキドキするし、シンと話をすると楽しいし、シンの心に触れると心が和む。
私がシンに厭きるという事はないんじゃなかろうか? そんなバカップルと取れる事すら思ってしまう。
もっとも私としてはそれが一番いい、シンといつまでも一緒にいれるんだから。
ただ最近過ぎる疑問。
シンも私と同じ想いでいてくれているのか?
もちろん私はシンの気持ちは分かってるつもりだし、シンの私に対する挙動や言動に嘘がないという事を理解している。
だけどそれはやっぱり推察の息を出ない。人を完全に分かろうとするのは無理な話。
だから私達はケンカをよくする、お互いをより分かろうとするために。
しかし今度ばかりはそれも出来ない。
私といると楽しくない? なんて私の勝手な疑問に過ぎないのだから。
それにシンは偏ってはいるけど優しいから、一緒にいると楽しくないとは絶対に私の前では言わないだろう。
それにこの疑問は下手をしたら、シンの信頼に対する裏切りになるかもしれないのだ。
だから日頃の本当に何気ないシンの様子から探り出すしかない。
ただシンは軍人をやっていただけあってカンは鋭い。バレずに振舞うのは至難の業だ。
でもやるしかない。シンとずっといたいから。
全くこれこそ惚れた弱みってやつよね
『やっほー、あ・き・らでーす☆今日は――』
苦笑いの声は突如上げられた、私でもシンでもない声にかき消される、シンが不意にテレビを付けたのだ。
私としてはシンとの二人だけの空間を楽しみたいんだけど、どうやらシンは違うようだ。
やはり倦怠期というやつなのかしら?