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「ご、ごめんね…一緒に入れなくて………」
「あ、ああ………」
別にいつもと違ってしおらしいかがみに驚いたというわけではない。
行為をする前のかがみは普段の勝気な態度とは、逆でいつもこういう感じなのだから。
儚げで、自信がない
オレだけが知ってるかがみのもう一つの姿
だからオレが驚いたのは、かがみの格好だった。
髪はいつもの綺麗な薄い菫色の髪を垂らしたロングヘアーとは違って、付き合う前の髪形、いわゆるツインテールというのにしていた。
そして体を包んでいるのはバスタオルではなく、なぜかは知らないけど巫女姿のかがみが今オレの前に立っているのだ。
「え、えーっと…なんだその格好は?」
多分1番もっともらしい事を尋ねる。
初めて見る格好じゃないけど、かといって今のこの状況で巫女姿はおかしすぎる。
「あ、あんたが言ったんじゃない、巫女が良いって………」
消え入りそうなかがみの声。部屋はすでに薄暗くて、良くは見えないけどきっとかがみの顔は真っ赤になっているんだろう。
確かにかなり恥ずかしい格好だからな。
この状況でこんな格好してる意味はさすがのオレでも分かる。
でもオレそんな事言ったか?
「わ、忘れたの? この前私が家に来た時言ってたじゃない!?」
「う〜ん」
お互い大学が忙しくて、1ヶ月に1回程度しか会えてないけど、かがみとはどんな事を話したかとかはちゃんと覚えてる。
しかし、オレがそんな事言ったのかなんて全く記憶にない。
その日は確か………
オレは記憶の糸を手繰り寄せた。