「かがみの理想は取り合えず置いておいて、かがみとアスカ君きっと仲良くなれると思うわ」

「えー!?」

 はっきり言ってそんな気が全然しない。

 シンが悪い奴でもないし、冷たい奴でないのはなんとなく分かるけど、どこか信用出来ない。

 不必要なまでにシンは他人に対して警戒している、関係をもとうとしないし、信用していない、拒絶しているといってもいいかもしれない



「でもなんでそんな事を言うの?」

 お母さんは私達娘の交友関係にまで口を出さない。

 まあ異性の交友関係ならさっきみたいにからかってくる事はあるけど………



「うーん、どうしてかしら? アスカ君がかがみと似てるから、かしらね?」

「はあー!? どこが!? ……いいから、言わなくていいから」

 口を開いて答えを言おうとするお母さんを慌てて押し止める。

 長所が言われようが短所が言われようが恥ずかしい事に変わりはない。



 とはいえ、私とシンって似てるかなー?

 あんなに私はひねくれてないし、攻撃的でもないはずなんだけど………



「変な事ばっかり言わないでよ。もう部屋に戻るから」

 テストもそろそろ近いし、これ以上に余計な事に時間を取られるわけにはいかないので、私は台所から出て行こうとする。



「かがみ」

「なーに?」

 まだ何かあるのだろうか? 呼び止めるお母さんの方を振り向く。



「もしも、もしもだけど、アスカ君が困っていたら力になってあげなさいね」

「…………」

 我が家は神社の家系、お母さんに何か神託でも降りたのだろうか。

 なんでお母さんがそんな事を言ったのかは分からないけど、そんな真面目な笑顔で真剣に言われたら、

流す事も、首を横に振る事もはばかられた。



 だから私は分からないくらい小さく頷くと、今度こそ部屋へと戻った。





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