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「何企んでんだ?」
「べつにー
わたしまだ欲しいものがあるから、もうちょっとここにいといてー」
慣れた様子でシンの睨みを受け流すと、こなたはそのままさっさと行ってしまった。
残ったのは私とそして、シン。
自分に社交性がないとは思えない、むしろ人並み以上にあるとは自負している。
ちらっとシンの方を見る。
しかし今回ばかりは相手が悪すぎる。
全体から『話し掛けるな』オーラを漂わせてるシン。
私は心の中で溜め息を吐く。
悪い奴、というわけではないのだけど、どうにもこうにもやりづらい
「ごめんなさいかがみ、お待たせ」
だから後ろから掛けられてきた声に私は驚きよりも、非常にほっとしたのだった。
「えっと、そっちは………?」
私が男子といるなんて珍しいので(自分で言うのも悲しいけど)、不思議に、しかし、どこか嬉しそうに聞いてくる。
まずい! これは対処を失敗すると後々で絶対何か言われる!
「こっちはアスカ………、君! こなたの親戚で今日はこなたと一緒みたいよ」
取り合えず無難な紹介をしつつも、シンのことをよく知らないのを私はアピールする。
「あら、そうなの
これからもかがみをよろしくね」
しかしそれに気付いているのかいないのか、さらに笑みを増してシンに言葉を掛ける。
「なんだよ、かがみ」
挨拶を受けて、シンにしてはやけに馴れ馴れしく私に話し掛けてくる。
別に身内が相手だからこっちの体面に気に掛けてくれるってわけじゃないのは、顔にからかう気満々の笑みを浮べてるところから分かる。
「双子の妹がいるって言ってたけど
アンタの方が妹みたいだな」
…………
「……はい?」
私は三度シンの言葉に翻弄される。
シンの言ってる意味が全く分からない。
一体どこにつかさがいると………
……まさか、こいつ………
「あほかー!」
私は店内にもかかわらず、大きな声を上げる。
しかし今回ばかりはそんな事を気にしても仕方がない、こいつは、こいつは
声のトーンを全く変えずに私は言葉を続ける。
「こっちはつかさ、妹じゃないわよ! 私の、お母さん!!」