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「こなた時間は大丈夫か?」

 時計を持っていないオレは、隣でつり革に掴まり不自然なくらいに揺れているこなたに尋ねる。

「うん、無理。でも電車はこれ以上速く動けな〜い

 でもサプライズゲストは後からの登場って決まってるし☆」

「集合時間に遅れたのオレのせいにするなよ」

 オレの疑惑の眼差しをスリッピング・アウェーでかわすこなた。

 ちなみにオレは何度も何度もこなたを急き立てた。

 なのに結局こなたが家を出たのは、いつもとほんの少ししか変わっていない。



「お前、こうやってかがみを毎度毎度怒らせてるんだな」

 こなたの話だとかがみとは週に2、3日は駅から一緒に登校するらしいけど、

こういつもいつも遅れてくるこなたを相手にしていては、同情を禁じえない。



「あれ? あれあれ〜?」

「な、なんだよ?」

 反省するどころか、こなたは不気味といえるほどにニヤついた顔をオレに向けてくる。

「やけにかがみの肩を持つんですね〜シンくんは」

「うぐっ! …………」

 呻いてからこの行動こそがこなたを喜ばせるものだと気付き歯噛みする。



「べ、別に関係ないだろ!」

「はいはい、そうですねーごめんなさいねー」

 こなたの返しに繕えば繕うほどに、傷が拡がっていく錯覚に陥いるし、事実そうなんだろう。

 だけどそれはオレの中でかがみという少女の存在が、昨日からの以前とは変わった事の証拠だといえる。



「ほら、次で降りるんだろ?」

 強引とも取れる手段でオレは会話を終わらせる。

 こなたの方を盗み見ると、凄く嬉しそうな顔をしている。

 こなたからしたら今のやり取りである程度オレが、かがみに悪い感情を抱いてないと分かったのだろう。

 それはオレも否定はしない。



 だだ、それを人前で暴かれるほど恥ずかしいものはない。





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