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 用意された本の最後の1冊の最後のページをめくり終え、朝から積み重ねていった本の上に置く。

「はぁー」

 この溜め息は大量の本を読んだところから来るものか、それとも本の中味の内容についてか

 多分どっちもだ



 予想してた事だったけど、こなたが貸してくれたテキストはオレを満足させるものじゃあなかった。

 数学・物理・化学・生物の理数科目は簡単すぎるし、

それ以外の科目も英語はやたらと文法的で、日常で使わないような表現ばかりだし、社会の科目に至っては意味不明。

 これらがもしアカデミーのテキストだったら、オレは確実にMSに対する科目しか出ない。

 それくらいに下らないものだ



「こなたは一体どこが楽しいんだ?」

 それでも毎日こなたは嬉々として学校に行っている。

 まさか本当にかがみ達、友達に会いに行っているだけなのか?

 そんな目的もなく学校に行ってるのか?



「関係ないよな」

 そう、こなたがどんな目的で学校に行くかなんて、オレには関係の全くない話だ

 今のオレに必要があるかないか、ただそれだけのこと

 そしてこなたの学校には、そんなものがない



 でもそんな結論を言えばこなたはどんな顔をするんだろう

 いつもみたいにオレをからかう?

 普通に納得する?

 それとも怒る?



「ういっーす! 泉こなた、ただいま帰還しましたぁ!」

 こなたがドアを蹴破る勢いで入ってくる。

 恐らく学校が終わったんだろう

「ノックくらいして入れよ」

「強すぎるノックならしたよ☆」



 きっと違うな



 オレが行かないって言ったらこなたはきっと、物凄く悲しむ

 まるで自分のことの様に



「で、シン、行くの? 行くよね!?」

 それが分かってるんだったら、オレは一体どう答えればいいんだ?





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