15
『ただいまー』
私とつかさは狙って合わせているわけでもないのに、同時に声を出す。
そしてまず私が玄関に足を入れ、つかさが続く。
「つかさお菓子お願い、私は部屋の片付けしとくから」
「うん」
さすがにつかさも心得たもので私が言い終わるより先に、台所の方へと足を向けている。
「あら、誰か来るの?」
「うん、こなたがちょっとね」
私達の空気から察したのか、お母さんが迎えに出てくる。
私は返事もそこそこに、自分の部屋の掃除へと向う。
そんな私の様子が滑稽だったのか、お母さんは微笑みを浮べこっちを見つめる。
「そんなにうきうきしちゃって、本当にかがみは泉ちゃんとみゆきちゃんが大好きね」
「なっ!? だ、だ、だ、誰が! そ、そんなんじゃないわよ!!!」
過剰な反応は肯定を意味するというのは分かっているのだけど、ついついしてしまう。しかもそれが不意打ちならなおさら
「家に来るから部屋の掃除って、まるで彼氏みたいね」
「くっ! ………」
完全にからかってきてる相手にこれ以上の反応は喜ばせるのみ
母と片割れの生暖かい視線になんとか堪え、私は部屋へと逃げる様に向かい少し乱暴にドアを閉めた。