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『ただいまー』

 私とつかさは狙って合わせているわけでもないのに、同時に声を出す。

 そしてまず私が玄関に足を入れ、つかさが続く。



「つかさお菓子お願い、私は部屋の片付けしとくから」

「うん」

 さすがにつかさも心得たもので私が言い終わるより先に、台所の方へと足を向けている。



「あら、誰か来るの?」

「うん、こなたがちょっとね」

 私達の空気から察したのか、お母さんが迎えに出てくる。

 私は返事もそこそこに、自分の部屋の掃除へと向う。

 そんな私の様子が滑稽だったのか、お母さんは微笑みを浮べこっちを見つめる。



「そんなにうきうきしちゃって、本当にかがみは泉ちゃんとみゆきちゃんが大好きね」

「なっ!? だ、だ、だ、誰が! そ、そんなんじゃないわよ!!!」

 過剰な反応は肯定を意味するというのは分かっているのだけど、ついついしてしまう。しかもそれが不意打ちならなおさら



「家に来るから部屋の掃除って、まるで彼氏みたいね」

「くっ! ………」

 完全にからかってきてる相手にこれ以上の反応は喜ばせるのみ

 母と片割れの生暖かい視線になんとか堪え、私は部屋へと逃げる様に向かい少し乱暴にドアを閉めた。





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