14


「おーす」

「おはよう、ゆきちゃん」

「おはようございます、かがみさん、つかささん」

 もはや朝の定番ともいえる、つかさ達の教室前での会話。

 そして毎日思う、なぜ私だけが同じクラスじゃないんだと



「みんなーやふ〜」

 その声に振り向くと少し遠くからこなたが手を振りながら走ってくる。

 これも朝の定番

 そして私がこなたをからかい、こなたが受け流し、つかさとみゆきが笑う。



 それが楽しい朝の定番





「おっす」

 授業合間の休み時間、なんの迷いもなく私はつかさ達の教室に足を運ぶ。

 別に自分のクラスに友達がいないというわけではないのだけれど、どうにもこうにもあの三人と一緒にいる方がしっくりきてしまう

 認めたくはないけど、私の高校生活はつかさ、みゆき、そしてこなたがいないのは考えられなくなっているのだ



「そうだ。この前かがみが言ってたゲーム貸そっか?」

 オタクときけば、なんとなくネガティブな連想をしてしまうけど、

そんなイメージを覆すには十分すぎるほどの人懐っこい笑みを浮べるこなた。

 もっともその中身はやはり一般人には分からない思考満載なのだが



「ほんと、いいの?」

「うん、クリアしたからね〜でも今日は朝色々あったからさ、持ってくるの忘れたんだよねーだから放課後かがみの家に渡しに行くよ」

「別に明日でもいいわよ」

 私は同年代の女子の中ではゲーム好きではあるけど、こなたの様に寝食を犠牲にしてまでのゲーマではない。



「え〜!? つまんないよーかがみー」

 ただこなたはそんな『一般人』の私の感覚が全く納得出来ないらしく、私の説得に掛かる。

「だってどうしてもやりたいって程でもないし」

「いやいや、見るのとやるのでは大違い」

「それにテストも近いからそろそろ勉強したいしね」

「一緒に道を踏み外そうよ、かがみん」

「いやだっ! てかあんた諦めるの早すぎるわよ!」

 一夜漬けでそこそこの成績が取れるのだから、真面目にやればかなりの成績上位者になれると思うのだけど、

残念ながらこなたにはその気が全くない。



「つまんないよーか・が・みー」

 なおも人の髪をおもちゃにしつつ、説得を続けるこなた。

 別にこなたに悪意はない、私の成績を落とそうという気がないのも知っている。

 本当につまらないのが嫌いなだけで、自分のやったゲームについて楽しく語りたいだけ。

そしてその時のこなたの顔は本当に幸せそうなのだ

「あーもう、分かったわよ! じゃあ放課後家に来なさいよ」



 それが分かってるから、いつも私は結局こなたの願いを聞き入れてしまう



 悔しいけど、私も楽しいから





戻る   別の日常を見る   進める