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こんこん
『シーン、ゲームしよ』
「しない」
返事をする前にドア越しから、ユル〜い声が聞こえてくる。
なんとなくこなたが来るんじゃないかと思っていたので、オレは驚くこと無く即座に答えを返す。
さっきのさっきだから、怒りは収まっていない。
なのに怒りをぶつけなかった理由は、こなたの声が心なしか沈んでいたから
『……シン、怒ってるならごめんね
シンが学校に来たらおもしろくなるなーって思ったら暴走しちゃってさ』
タハハと短く笑うこなた。
『それにさ、シンをゆる〜くできる大チャンスだったからさ』
申し訳ないというよりは、恥ずかしいことをしたという感じを受けるこなたの言葉だけど、もう怒りはなかった。
手段はどうあれこなたはオレのことを想っての行動だったから
こなたに言わせるとオレの性格やら行動は色々と危なっかしいとのことだ
こなたに言われたくないし、それ以上に全く余計なお世話以外の何物でもない
ただ
自分に向けられる厚意を振り払える程オレは強くない
それも少しの間、時間を過ごしてるやつなら尚更だ
「別に怒ってるわけじゃない! だ、だからって勘違いはするなよ!
オレは学校に行くとは言ってない! た、ただ、少し冷静になって考えてみようと思ってるだけだからな!」
オレにしてはなんとも回りくどい言い回し、案の定こなたもオレの言葉を頭の中で何度も反芻しているらしく、少しの間沈黙が続く。
そして
『そっか! ツンデレなんだねー!』
全然違う、何を聞いていたんだお前は!
見当違いのこなたの答えにこの世界に来て癖ともいえるものになってしまった、頭を右手で押さえるポーズを取る。
「もういい、1人でゲームしてろ!」
『はいはーい』
笑いを噛み殺した様なこなたの答え、また見当違いなことを考えてるな
それにしても
なんで考えるなんて言ってしまったのか
こなたの気配がなくなってからオレは自分の発言に首を捻る。
がっかりさせたくなかったから?
学校に行きたくなったから?
「バカバカしい」
出てきた解答に首を左右に振る。
どっちもありえない
そんなつまらない理由で自分から厄介事を増やすなんて
だけど言ってしまった以上はちゃんと考えないといけない
「ったく、面倒だよな」
オレは苦笑とも呆れからくるものともいえない種類の笑いを浮かべ、少しの間さっきまで会話していたドアを見ていた。