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家を出る時から悪かった空模様はついに雪が降り出した。
「勘弁してよね」
私は恨めしげに空を仰ぐがもちろんそんなことでは天候は変わらない。
現在私はシンがバイトをしている喫茶店の外で待機中。
こんな寒い思いをして待ってなくても、シンのアパートの合い鍵は持ってるし、上がって待っていればいい。
それをしなかったのは、予想外に出来が良かったチョコを一刻も早く渡したかった為とシンの驚いた顔を見たかった為。
自分でも馬鹿なことをと思う。
でも
「……喜んでくれるよね」
私は手に持っているラッピングされた物体を握りしめる。
手足は擦りながら寒いのを耐えているのに、胸のところだけは暖かい。
そこまでして渡したい想いが、今の私の中にきちんと存在している。
この気持ちに嘘はつけない
そしてこれがある限り、今の私はここで何時間、それこそ夜が明けてても待っていられる自信がある。
それでもやっぱり一刻も早く、バイトを終えてほしい。
だって早く会いたいから
だから今の私には雪がちょっと強くなっても、特に気にもならなかった。
でもそれを気にした人がいた。
「……何してんだよ………」
声のした方を振り向くと、無理を言って早く終わらせてもらったのかシンがいた。
今にも泣きそうな顔をして。