4
家の近くの土手で私達は腰を下ろす。
シンは何も喋らずに、草をいじりながら私の言葉を待っている。
でもそれは全然急かす風なんかじゃなくて、凄く自然に、きっと私が話をしなければシンはずっとそうしているだろう。
時々シンは大人っぽくてなる。その時はいつもバカなケンカをしてるのとはまるで別人、全てを委ねたくなるくらいに。
「なんかね、私の学部大変なのよ」
だから私はなんとか話し始めることができた。
でもこれは私達二人にとって望ましいという話じゃなかった。
「そりゃ弁護士を目指すくらいだから、ある程度の覚悟はしてたけど、カリキュラムを組んでみたら、毎日びっしり」
小さく笑って言葉を止める。
この続きは言いたくない。
言ったらシンはどうする?
怒る?
笑う?
激しく?
寂しく?
どちらにしたって私はシンの期待を裏切る。
そんなことはしたくない
好きな人のそんな姿みたくない
でもずっと抱いてた夢を諦めたくはない
「だからすっごく忙しくって、……そんなに会えなくなる………」
私凄い自己中な女
このままシンの目の前から消えたい、そう思った。