家の近くの土手で私達は腰を下ろす。

 シンは何も喋らずに、草をいじりながら私の言葉を待っている。

 でもそれは全然急かす風なんかじゃなくて、凄く自然に、きっと私が話をしなければシンはずっとそうしているだろう。

 時々シンは大人っぽくてなる。その時はいつもバカなケンカをしてるのとはまるで別人、全てを委ねたくなるくらいに。



「なんかね、私の学部大変なのよ」

 だから私はなんとか話し始めることができた。

 でもこれは私達二人にとって望ましいという話じゃなかった。



「そりゃ弁護士を目指すくらいだから、ある程度の覚悟はしてたけど、カリキュラムを組んでみたら、毎日びっしり」

 小さく笑って言葉を止める。

 この続きは言いたくない。



 言ったらシンはどうする?

 怒る?

 笑う?

 激しく?

 寂しく?



 どちらにしたって私はシンの期待を裏切る。



 そんなことはしたくない

 好きな人のそんな姿みたくない

 でもずっと抱いてた夢を諦めたくはない



「だからすっごく忙しくって、……そんなに会えなくなる………」



 私凄い自己中な女



 このままシンの目の前から消えたい、そう思った。





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