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この家、いやこの世界に来てもう3週間以上…元の世界はどうなったんだろう?
家の掃除が終わりオレはあてがわれている部屋で、寝転がって天井を見ながらそんな事を考えていた。
元の世界に戻る方法は相変わらず分からない。だからといって諦める訳にはいかなかった。
別にここが居心地が悪いというわけじゃない。むしろ逆だ。居心地が良くて調子が狂う。
そう思うとオレは遺伝子レベルで戦士なんだとつくづく感じる。
「と言ってもなー」
そう呟いてオレは上体だけを起こす。
でも元の世界に戻りたいと駄々をこねても仕方がないんだよな
ここに来た当初はそれでそうじろうさんとこなたに散々迷惑をかけちまったし………。
あの親子は少し変わった所はあるがいい人達だ。いきなり異世界から来たオレを受け入れてくれた事には感謝しきれないものがある。
そんな2人にこれ以上貸しを作る訳にも行かないしな…だけど必ず戻って見せる。
あそこには守るべき人や世界があるのだから………。
改めてオレが元の世界に戻る決意を固めた時
プルルルルル―――――
下から、電話のコール音が聞こえた。
「えーと…泉だけど…何か?」
オレは慣れない口調で電話に出た。
『あ〜シン? わたし、こなた』
「なんだアンタかよ。どうした?」
電話の相手がこなたで助かった。
話すのが元々苦手なのに、相手も見えない旧式の電話じゃやりにくくて仕方がない。
『え〜とね、今から駅まで来て』
「なんだ、ケガでもしたのか?」
『違う違う、あのね―――』
「ふざけんなー!!」
『し、シン…電話越しで大声出さないでよ………』
「うるさい! なんでザフトレッドのオレがアニメグッズの荷物持ちに行かなくちゃならないんだよ!?」
『おお〜と、エリート意識ですか〜負け犬が〜?』
「何ッー!?」
『昨日言ったよね? ゲームに負けたら言うこと聞いてやる、って』
「うっ………」
確かに勢いで言ってしまったが、まさか本当にそれをさせるとは…冗談ってのを知らないのかコイツは?
『ザフトレッドが約束を破ってもいいんだ〜? やれやれザフトも――』
「行けばいいんだろ! 行けば!!」
『んじゃ30分後に駅で〜♪』
プツ、ツーツーツー
ア、アイツー! 何がオレをユル〜くしてやるだよ! オレをキレ易くするの間違いだろ!?
オレは唸りながら外出の準備を始めた。