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「なんだよ………」
バイトからの留守電を聞いて、思わずオレは愚痴る。
内容は今日の喫茶店のバイトは休みだということだった。
なんでも急な用事ということだが、恐らく昼の情事をやっていたら店を開くのが面倒臭くなったのだろう。
3ヶ月に1度ほどこういうことがある。
いくら個人でやってるからって、こういう大人にはなりたくはないもんだ。
しかしそんなことより当面の問題はバイトだった時間をどう潰すかという事だ。
「……そうだ! かがみを誘ったらいいじゃないか!」
オレと彼女であるかがみはオレのバイトのせいで、1ヶ月に1回位しか会えない。
本当は1週間に1日位は会いたいのだが、1人暮らしを始めたオレには金が必要なためこのような状況になっている。
それでもかがみはそのことについて文句を言ったことがない。
恐らく言ってもオレを困らせると思って言わないでおいてくれてるのだろう。
かがみは普段はきつい事を言うが、本当は凄く優しい。こういうところもかがみの魅力の1つだ。
もっともかがみの魅力はこれだけではないけど、それを挙げていくと時間がいくらあっても足りないから、止めておく。
♪誰だれだれが? ♪
かがみからのOKの返信を見て、オレは思わずガッツポーズを取る。
収入が減ったのは残念だが、かがみに会えるんだからそんなものは安いものだ。
オレは細かい段取りを決めるため、いそいそとメールを打つ。
その姿は爛れた若者以外の何者でもなかった。