『初めての………』
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大学に入って一ヶ月以上も経ってくると大体交友関係も決まってくる。
それは同じ講義を受けてたりとか、名簿が近かったりとか、サークルが一緒だったりとか様々な理由があるが、
私も例に漏れず一緒に行動する友人が何人かは出来ていた。
「柊ちゃんって彼氏いたよね〜?」
「嘘!? ほんとに!?」
しかしお互い知らない事がまだまだ多く、この昼休み時に新たな発見をする事も多い。
「なんでそんなに驚くのよ?」
「だってー柊ちゃんって厳しそうだもん」
「そうそう、特に男子には」
どうやら大学内での私の立ち位置は高校時代とそう変わっていないらしい…納得いかねー!!
「そんな事ないわよ」
「で彼氏ってかっこいいの?」
「……悪くはないんじゃない?」
私はお箸を口に入れたまま答える。
私の中では当然格好良いのだが、それが世間一般で格好良いかは分からないし、下手に褒めると惚気と取られかねない。
でも普通に格好良いと思うんだけどな〜シンは。
「私大学の前で柊さんを待ってるところを見たことあるよ、格好良かったよ」
「そう?」
内心自分の彼氏が褒められて嬉しいのだが、私はそんな仕草をおくびにも出さず、興味なさ気なふりをする。
そもそも私はシンを格好で好きになったわけではない、かといって性格がいいから好きになったというのにも首を捻らざるをえない。
最初に会ったときは暗い雰囲気にすぐ怒る奴というのが印象だった。
それでも私は今シンの事が好きだし、出来る事ならずっと一緒にいたい。
結局のところシンの全部が好きなのだろう。
「それに、そのときの柊さん凄い可愛かったよ」
「うそー!?」
「え〜信じられないー!!」
「もうね彼氏の人に会えるのが嬉しいってのが分かるくらい」
『きゃー!!』
「…………」
「ファーストキスはどこ?」
「ねえ、もうやった?」
「…………」
スキャンダルが発覚した芸能人よろしくノーコメントを貫いている私だが、自分の顔が恥ずかしさで赤くなってる事は分かる。
だいたいシンと付き合ってまだ二か月しか経っていないのだから、アレなんてやってるわけがない。そもそもキスしたのも最近だし………。
というかあの時見られてたのか…お互い大学違うし、
私の大学では一回しか待ち合わせしてないんだけどな〜タイミングが悪いというか………。
「ほら、もう講義始まるから行こ!」
なんとか一瞬の隙を見つけ、私は凄い速さで片付けて席を立つ。
今度から大学に来させないようにしないと。私は早足で教室に向かいながらそう決心した。