「ごめんね、シン………」

 オレ達は見事な逆転劇で湧いてるゲーセンを後にして、夕暮れ道を歩いていた。

「……ごめんね、シン」

 オレの速度に合わせるため、小走りに追いかけて謝るかがみに、オレは振り向くどころか、言葉すら掛けなかった。



 正直いって、許せなかった。



 なんだあれは?



 怒りが次々と込み上げてくる。

 当然だ、あんな事をすれば



「シン…待って、待ってよ………」

 かがみの方を振り向けなかった、振り向いたら怒りをぶつけそうだったから。



「悪い、今日はもう帰ってくれ」

「えっ………」

 かがみが立ち止まるのが分かった。だけど振り返るわけにはいかなかった。

 今の言葉だって自分なりに怒りを抑えたものだったから、これ以上は取り返しのつかない言葉が出るのが分かっていた。

「駅まで送るから」

「……うん………」

 きっとかがみは泣いているだろう、でもそれを今のオレはふき取ってやれない。



 オレ達は無言で別れた。





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