「どうした、チビ!」

「くっ!」

 現在の点数は男、3点、オレ、0点。

 ゲームは5点先取だから、かなりヤバイ状況だ。

 運動能力では負けてるとは思えない。

 ただやはり初見での競技では不利はいなめない。



 カンカンカン!



「しまった!!」



 IN!!!



「リーチだな」



 中でも厄介なのは、反射を利用したパックの動き、これを見極めないとオレの勝ちはない。



「待ってな、今俺がこのダサチビを倒して、君をその鎖から解いてあげるよ」

 気取った台詞をはく男。

 全然似合ってないが、男が優位なのは間違いない。

 かがみの方を見ると両手で祈りながら、泣きそうな顔でこっちを見てる。



 何やってるんだオレは!?



 かがみになんて顔させてるんだ!?



 守らないとダメだろ!!



 オレが



 オレがかがみを守るんだ!!!



「これで終わりだ!」

「ウォォォォォ!!!」

 オレの頭の中で何かが弾ける。

 その瞬間、オレに向ってくるパックの動きがスローモーションになる。

 パックとラケットのインパクトの瞬間にオレの頭が、パックの軌跡をシミュレートする。

 そして見つけるポケットへの隙。



「そこだぁぁぁぁ!!!」

「えっ?」



 IN!!!



 この瞬間勝敗は決した。





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