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「彼女ひま? どっか行かないか?」
オレが飲み物2人分を買って戻ってくると、オレの彼女はナンパされていました。
やれやれ今日で何度目だ?
オレは心の中で溜め息を吐く。
確か今日だけで3度目だ。通算に直すとそろそろ両手足の指が2往復目に突入する。
しかもどれもこれもオレがちょっとかがみの元を離れている時だから、もう見えない組織が暗躍してるんじゃないかとすら思えてくる。
まあ、だいたいこの手のヤツは彼氏がいると分かると大抵は退散する、というわけで今回も帰ってもらうか
「ごめん、一人じゃないから」
オレが行動に移すよりも先にかがみが笑顔で断りを入れる。
「えっ、あっ、そうか………」
恐らくかがみの完璧なまでの笑顔に戦慄したのはあの男以上にオレだろう。
普段のかがみからは想像もできない拒絶がふんだんにのった笑顔。
オレがあんな顔をかがみにされたら、1週間は立ち直れない自信がある。
「シン遅いわよ」
「なかなか頼まれたのが見つからなかったんだよ」
「でも探して来てくれたんでしょ? ありがとう」
笑顔でオレの渡したジュースを受け取るかがみ。その顔はさっきとはまるで違う、心からのもの、オレだけに見せてくれる顔。
だけどその信頼に甘えていたらダメなんだ。この顔を見続けられるように頑張らないとな
「……気をつけないとダメだな」
「? 何が?」
「なんでも」
オレはそう言うと手に在った物を一気に喉に流し込んだ。