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私とシンの立ち位置は三センチだけシンが前を歩く。
意識はしてないが気付いたらこういう位置にいつも収まっている。
多分それはシンがリードしてるというのではなく、私に後ろを任せてる、と勝手に解釈している。
本当は恋人同士なんだから手を繋いで歩きたいのだが、原因が私の方にあってそれが出来ない。
一応断っておくが別に二人っきりの時は繋げるのだ、簡単に。
だけどこういう人が沢山いる所だと恥ずかしさが先にきてしまって出来ない。
最も例え恥ずかしさが無くなっても、私は人の目がある所で手を繋がないと公言している。
だいたい最近のカップルは当たり構わずイチャつきすぎ。
見せ付けるという以前に周囲に迷惑な行為をしすぎ、私達はそんな迷惑バカップルとは違う。
大体、そんな事をしなくても心さえ繋がっていれば問題はないはずなのだから。
例えば………。
「どうした?」
私はシンが明後日の方向を向いてるのを確認してから足を止めてみたのだが、シンは一瞬でそれに気付いて歩を止めた。
お互いを意識すればこれくらいは出来るんだから、わざわざ無駄にイチャつく事は無い。
ただこの考えは、自分のヘタレ具合に対する言い訳が少し入っているのは否定できないけど………。
「ううん、なんでも」
私の言葉にシンは軽く頷くと再び歩き出す。
それにしてもシンって会う度に格好良くなるわよね〜
ううん、格好だけじゃない、性格も大人になってる。
いつまでも恥ずかしがってる私とは大違い。
私も頑張らないとね…成長しない女ってシンに愛想つかされたくないから………。