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「やっぱりないよな〜………」
家に帰ったオレはベッドに寝そべり、例の手紙を見ていた。
何度見ても差出人の名はない。もしやと思ってこうして透かして見てるのだけど、やっぱり名前は書いていない。
こうなるとこれはイタズラの可能性が1番高い。またもし本物のラブレターとしても、あいつである可能性は少ないだろう。
あっちからしたらこっちは異性の親友という認識だろうし、オレの方もあいつの前では極力そう振舞うようにしてきた。
とすると、やはり該当するのは白石や男子共のイタズラだ。
だがイタズラでも構わない、その日行ってみようという気にオレはなっていった。
それはそれで思い出になるはずだ、笑える思い出に、だから…そんな風に考えられるようになったのは、あいつ達のお陰か………。
「決まりだな」
『ご飯だよー』
オレの決意の呟きと同時に階下から、ユル〜イ声が聞こえてきた。
「こなた、卒業式オレ早く出るから」
「おk、おk」
「えっ、そ、それだけか?」
こなたの簡単な返事にオレは思わず箸を止める。
「それだけって?」
「いや、その……い、一緒に行けなくて、悪いというか………」
それまでほとんどこなたと一緒に登校してきたんだから、
高校生活最後の日である卒業式もできれば変わらずにこなたと登校したかったのだが…オレだけだったらしい………。
「そんなことないよ、わたしもシンと一緒に登校したいよ…でも用事があるんでしょ?」
「……ああ」
オレを見つめながら微笑むこなた。まるでオレの心の中を見透かしてるようだ。
「じゃあ、この話は終わり。早く食器空けてね、買ってきたゲームしたいから〜」
そう言ってこなたは話を切り上げると、台所に消えていった。