『オレ達は任務の為にベルリンに向かったんだ

 そこにいたのは―――』



 そんな話を聞いたのはもう数年前になる。

 不思議な事にその話の一部は今テレビで流れているものと重なっていた。

 そしてアニメは続く、初めて見るはずなのに次の情景が分かる。

 

 どういう事? これは一体何?



 混乱したままシンの顔を覗き見ると、まるで石像のように固まっていた。

 この様子からするとシンも知らなかったのだろうという事が理解できた。



 シンの元いた世界の事がこの世界で映像化されていた事に





「シン! ちょっと待って!」

 止める暇もなくアニメが終るとシンは即座に立ち上がり、玄関の方へと走っていく。



 久しぶりに見るシンの絶望した顔。出来ればもう二度と見たくはなかった顔。

 でも今は嘆いてる暇は私にはない



 私も急いで立ち上がるとシンの後を追う。

 しかし家を出るとシンの姿はもうどこにも見えない。



 落ち着け私



 行き先は分かっている

 伊達に三年間シンの彼女をやっていない

 きっとシンは確かめに行くはずだ。この映像が本物かどうかを



 こなたの家に行くという事はない。

 こなたはきっと真相を知っている。今までの言動を振り返ってみるとそう思い当たる節は多数にある。

 でもこなたは今までそれを私達にもシンにも言おうとはしなかった。

 きっとシンがこうやって絶望する事が分かっているから

 そんなこなただから見せるのを拒否するかもしれないし、何よりこなたが今家にいるかどうか確証がない。

 それよりももっと簡単に確実に見つけられる場所が近くには存在する。



 レンタルビデオ店



 まさかここが人生で重要な場面に関わる事になるとは思っても見なかった。





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