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「どうよ? 調子は?」
「ああ、今繋ぎ終わった」
私がいびつなスイカを持ってきた時には、シンは扇風機の風を真正面から向けていた。
全身から汗が吹き出てるところを見ると、案外暑さ寒さは普通に感じるのかもしれない。
「しかしいい加減テレビを買えよな。こんな旧型、部品調達が面倒臭いってもんじゃ………、なんだ、このスイカ?」
「それは私じゃなくてお父さんに言ってよ、言えるもんなら」
私はわざと無視して、シンにとって一番痛いところを使って反撃に出る。
思った通り、シンは苦虫を噛み潰した顔をする。
「言っとくけどなーオレは別にただおさんが苦手なわけじゃないぞ、ただタイミングが悪くてだな………」
「はいはい
で、どうなの映るの?」
この手の話題はあんまりいいケンカにならないのは過去の経験から実証済みなので、私は程ほどに切り上げる。
「ああ、地デジ、BS、後金も払えばCSも見れる」
近年のデジタル化の流れに反して我が家は未だにブラウン管テレビで対抗していた。
もっともさすがに私程度が家の中で機械関連一番を取れる知識レベルでは、もはやどうする事も出来なくなったので、
未知の最先端技術にも詳しいという比喩なしのスペックをほこる私の彼、シン・アスカにこうして援軍を頼んだのである。
「さすがスーパーエース! やっぱり違うわね」
「まあなまあな」
胸をそらすシン、基本的におだてられると弱い。
まあおだてすぎるとすぐに調子にのるけど
「そういえば今日、皆は?」
「皆もろもろで夜遅くならないと帰ってこないわよ」
私は確認の意味を込めてテレビのチャンネルを回しつつ答える。
さすがにシンがやっただけあって手抜かりはない、画質も格段に良くなってる
やっぱり凄いわね、私の彼は
などと感心していた私は、完全に油断していた。
「そうか、誰も帰ってこないんだな………」
シンの言葉に猛烈な嫌な予感を感じた私はそっちの方を向くが、もはや遅かった
気が付くとシンは私のすぐ近くまでやってきていた。
そして――