『Do you exist?』
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今年の夏は暑い。
まだ午前中だというのにこの暑さ、昼は確実にエアコンが稼動する事は間違いない。
こうして夏の風物詩スイカを切ってるだけでも汗が出てくるのだから、
居間で作業をしている私の彼氏のシンの暑さはいかなるばかりか、想像もしたくない。
でもあいつって暑さとかにも強いんだっけ?
シンは生まれる時に、遺伝子を強化して風邪を引かない体質になってるらしい。
だからその一環で暑さや寒さにも耐性があるのかもしれない。
もちろんそんな事は現代技術では不可能。
だけどシンが嘘を付いているという訳ではない。シンは私達とは違う別世界から来たのだ。
まあそんなのは些細な事ではあるのだけどね
「聞いてみようかしら」
数年前までシンの過去についてはタブーと言っても良かった。
でも付き合っている今では、シンも私も気兼ねなくその話題を出せるようになった。
それはシンが私を信頼してくれる証でもあるし、シンが過去を乗り越えている証明。
どちらも私にとっては喜ばしい事の何ものでもでもない。
「うっ………」
てな事を考えているとスイカは均等とはとても言えないサイズで切られていた。
「油断した………」
最近つかさの指導の下だいぶマシになってきてはいるが、ちょっと気を抜くと元の家事が苦手な私が出てくる。
「はぁ」
からかい満面のシンの顔が浮かぶ。
どうせさんざんと私をなじってくるに違いない。
勿論私とてそれを甘んじて受けるつもりはなく、反撃に出る。
そして後はいつもの様にケンカの始まりである。
どうしてこう分かってるのに、そのままなぞるのか
答えは知っている、私もシンも分かりきってるくらいに
生まれた世界は違っているけど私とシンは心が通じ合ってる、それが一番重要な事