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オレ達は適当に空いているところに、パラソルを開ける。
後は日が暮れるまで、かがみと海を満喫する、の前に女であるかがみにはやる事がある。
「か、かがみ、サ、サンオイル、ぬ、塗ってやろうか?」
本当はもっと冗談めかして言う予定だったのだけど、今いち理由が分からない胸の高鳴りのせいでオレはどもりつつ、かがみに提案する
「…………」
かがみがジッとオレを見てくる。
ちょ、ちょっと待て! 今の言い方だとオレがまるで下心全開で言ったみたいに聞こえるじゃないか!?
……いや、全くないとは言えないけど………
でも違うんだ。オレはいつものかがみとのやりとりみたいに軽口をだな―――
「じ、じゃあ、お願い出来る………?」
「へっ?」
消え入りそうなかがみの声にオレは思わずマヌケな声を上げる。
オレはてっきり笑いながら流されると思ってたんだけど………
「自分じゃ背中まで届かないし、お願い………」
そう言ってかがみはうつ伏せになる
「あ、ああ………」
ここまで来て怖気づくなんて男が廃るというもんだ
オレはかがみの水着のホックを外し、オイルを手にまぶす
眼前にはかがみの白い背中に、小さく綺麗な曲線の肩
ドックン ドックン
鼓動が激しくなり、オレの耳にはそれしか聞こえなくなる
おかしい
かがみの無防備な姿は見慣れているはずだ
そんな付き合い始めのカップルでもあるまいし、今更何を恥ずかしがるっていうんだ
ドックン ドックン
言い聞かせても鼓動は収まらない
やはり、この夏の海原という特殊なステージだからなのか?
と、そこで視線を移動させたのが失敗だった
うつ伏せになっていて窮屈そうにしている、張りのあるかがみの横乳が視界に飛び込んできた
「は、早くしてよ………、結構恥ずかしいのよ、この体勢………」
真っ赤になりながら、首だけをこっちに向けるかがみ。
その顔にはいつもの強気な色はなく、恥じらいの色が塗られていた。
なんだよ!?
可愛すぎるぞ、こんなの!?
世の中のカップルはこんな試験を乗り越えたって言うのかよ!?
今まで数多くの試験を受けてきたオレだけど、今以上にパスをするのが難しいと思った事はない
かといって、このままかがみの無防備な背中を他の男共に見せるわけには………
「わ、悪い!」
もったいない話だが、オレはかがみの背中をほとんど見ずにサンオイルを塗る事になった。