「ねぇ〜かがみん、ゲマズよってこーよ」

「だから、そんな気分じゃないって言ってるでしょ………」

 帰ろうと校門を出たところでこなたに捕まり、その時からこのやりとりの繰り返し。

「ほら、気分転換になるかもよ」

「ならないわよ…今日は悪いけどほっといてよ………」

 そう言って私は歩を速める。

 今は何もする気力が起きない。ただ一刻も早く自分の家、部屋に帰りたかった。



「ねぇ、かがみ〜」

 こなたは全体で私の腕を掴みながら、なおもしつこく誘って来る。

「ち、ちょっと、やめてよ………」

 この行動はこなたなりに私を心配してくれてるんだろうけど…つかさやみゆきみたいに、今日くらいはソッとしといてほしかった。

「なにさかがみ、ちょっとフラれたくらいでさ〜」

「あ、あんただってね―――」

 こなたのあまりの発言に、さすがにキレて言い返そうとしたその時――



 シスター♪ シスター♪ シスターウォーズ♪



「あ、つかさからだ。ちょっと、かがみ待ってね☆」

 つかさからの電話によって、私の怒りは水をさされた。

「はいは〜い、……うん、さすがみゆきさん。言った通りだ!

 って、これだと無能フラグだな……ううん、なんでもないよ〜……うん、任せたまへ〜♪ それじゃあ〜ねー」

「つかさから? なんだったの?」

「う〜ん、大した事じゃないよ。ただシンがここに向かって――」

「帰る」

 こなたの言葉を最後まで聞かず、私は歩き出した。

「早ッ!? って待って、かがみん!」

 そう言うとこなたは私の腕に再びしがみついてきた。

「は、離してよ!私がいたら邪魔でしょ!?」

「違う、違う。それ誤解だから」

「じゃあ何!? あんたとあいつのラブラブっぷりを私に見せつける気!?」

「ちょっ!? な、なんでそうなるの!? かがみ、冷静になって!」

「うるさい! うるさい!! うるさーい!!! いいから離しな――」

「おっ、いたいた。かがみー!」

 その声に、朝とは違い私の心臓は凍り付いた。



 ――逃げよう。そう思って走り出そうとした時、いつの間に回り込んだのか、こなたが私の前に立ち塞がっていた。

「こなたお願い! そこどいて!」

「ふっふっふっ。こっから先にはいかせねえ〜ぜ!」

「ちょっと、やめて……やめてよ………」

「シンはかがみに用があるんだよ。だって、さっきシンはかがみの名を呼んだでしょ?」

「……き、聞きたくなんか、うっ……ない……わ、私に…うっ…これ以上…ひっく…惨めな思いさせないでよぉぉ………」

 私はそう言ってこなたに、倒れかかる。

 今まで泣くのを我慢していたが……もう限界だった………。





「かがみ………。シーン、ちょっちそこでストッープ!!」

 こなたはこっちに来るあいつを制止し、私の肩に手を置く。

「何度も言うけど、かがみは誤解してるよ」

「ひっく……何を誤解してるのよ………?」

「私から聞くよりシンから直接聞いたほうがいいよ……ね?」

「………」

「シーン、もういいよー!」

 私がもう逃げないと分かったのか、こなたは少し遠くで待ってるあいつを呼んだ。

「今回は私が原因の一端だし、今日はかがみんにシンを譲るよ。

 あっ、そうそう。明日からまた五人で昼飯食べようね☆」

「何言って――」

 私がこなたからの耳打ちに返す前に、こなたは走り去って行った。

「かがみ」

 そして入れ替わるかの様にあいつが声をかけて来た。

「聞きたい事があってさ………」







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