「失礼します」

 放課後、オレは黒井先生に職員室に呼び出された。

 理由は特に思いつかないが、恐らくは苦手科目の1つ世界史の事だろう。

 説教されるのは嫌だが、このお陰でかがみに会わなくてすむなら、不幸中の幸いというやつだ。



「おお〜来たかアスカ」

「用ってなんです?」

「実は世界史――」

 ほらきた。

「やのうて、それよりも大事な話や」

「それより大事…ですか?」

「そや。なんやお前、柊の姉の方と喧嘩したらしいな〜?」

「なっ!? だ、誰がそんな事…こなたか………」

 オレは苦々しく言葉を吐く。

 実際にオレの事でこんなお節介を焼くのはこなたと後2名だけだろう。



「そんなんどうでもええやろ。喧嘩したんかしてへんのんか?」

「はい…まぁ。 ……でオレに、どうしろと? まさか、仲直りしろとか言うんじゃないでしょうね?」

「さっすが、アスカ。察しがええな〜」

 普通の喧嘩だったら言われなくても、そうしてる!

 だが今回のは喧嘩ではなく絶交宣言。……出来るわけがない。



「……無理ですよ」

「ほ〜なんでや?」

「かがみはオレの事嫌ってますし、仲直りなんて出来ませんよ」

「嫌っとる? なんでそう思うねん? 柊にそう言われたんか?」

「今日、チョコを渡されたんです………」

「それで?」

「先生も知ってるでしょ? バレンタインの次の日に渡したらソイツの事が嫌いって事」

「……それで嫌われとると判断したと?」

「ハイ」

「…………。

 ほな次の質問や。お前は柊を信頼しとるか?」

「ハイ、してます!」







戻る   別の日常を見る   進める