今日はバレンタイン。

 オレにとってはいいイメージが無いが、こなたが言うにはこの世界のバレンタインは、大切な人にチョコを渡す神聖な日…らしい。



「ただいま」

「おかえり〜どうだった?」

 学校から帰って来た矢先、こなたから訳の分からない質問が飛んで来る。



「どうだった、って何が?」

「チョコだよ、チョコ! 全部でどれ位貰ったの?」

「正確には数えてないけど、つかさやみゆきさんを含めて10前後じゃないか?」

「あれ? つかさやみゆきさんって…かがみは?」

「そういや貰ってないな」

 興味なさ気に言ったオレだったが、かがみからチョコを貰ってないのはちょっとショックだった。

「かがみんめ、さてはチョコ作りに失敗したな」

「あ〜なるほどな」

 あごに手をのせて呟いたこなたの言葉にオレも思わず納得する。

 かがみはしっかりしているけど、時々抜けてるところがあるからな。

「後のチョコは知らない人から?」

「いや、クラスメート。でもオレほとんど話したことないんだけどな」

 正直いうとクラスの女子なんて半分くらいしか名前を覚えてない。

 そんな人からチョコを貰ってもどうしていいのか………。

「ていうか、そんなにオレのチョコの事が気になるんだったら、先に帰らなきゃいいだろ?」

「わたしまだ死にたくないも〜ん。

 ……それにそんなの見れるほど私覚悟出来て無いよ………」

「なんだよそれ?」

「ううん、なんでもない、なんでもない! あっ、そうそう、クラスの女の子が渡したのは多分義理チョコだよ」

「義理チョコ?」



「『ありがとうございます。これからもよろしく』っていう一種の社交辞令ってやつだよ」

「なんだよそれ!? 紛らわしいな」

「まあね。でも空気でわかると思うよ。シンが苦手な」

「うるさい!!」

 人が気にしてる事をズケズケと………。

「それにシンが気をつけるのは義理チョコじゃなくて、明日渡されるチョコだよ」

「ハァ?なんでだよ?」

「チョコをバレンタインの次の日に渡されると、その人から嫌いっていう意味なんだよ〜」

「ふ〜ん、なんかバレンタインっていろんな決まりがあるんだな」

 そんな明日の事よりオレはさっきのこなたの説明で、気になる事が出来てしまった。





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