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「って啖呵を切ったのはいいけど………」
「上手くいかないもんだな」
私達はあの後も練習を重ねたが、結局タイムはあんまり変わっていない。
ちなみ3人にはこれ以上付き合ってもらうのは悪かったし、先に帰ってもらった。
3人が私達の様子を見て微笑みを浮かべて帰って行ったのは、私達を信じての事と思いたい。
「なあ、かがみ」
「何よ?」
「一体どこが悪いんだと思う?」
「何よ今更」
確かに分析するのは悪い事ではない。
だがもはや本番は明日、時間もないし今はひたすら実戦練習しかないのはあいつが一番分っているはず。
そもそも悪い事なんて理由がありすぎる
「タイミング、歩幅、二人三脚に必要なもの全てよ」
「お前、せめて気持ちくらいは合ってるって言えよな」
「まあ、そうね………」
私もあいつも、負けたくない、お互いの仲を否定したくない。
気持ちは合ってるはずなのだ。
「気持ちはあってるはずなのに不思議よね」
マイナスとマイナスを掛けたらプラスとはよく例えられるけど、プラスとプラスを掛けたらマイナスになるとでも言うのだろうか?
「その事なんだけどさかがみ、お前さっきこなたに詰め寄る時オレを意識したか?」
「意識ねー………」
そういえばあの時、あいつと足が紐で繋がられてるというのを忘れていた。
でも私はバランスを崩す事なく、立ち上がる事が出来た。
「オレもそうだ、オレも1人の時と同じ感覚で立ち上がろうとした」
わたしの表情から考えを読み取ったのか、あいつは頷く。
という事は………、どういう事………?
落ち着け、落ち着いて考えるのよ
これは多分、きっかけ。これを解けたら何かが進む。
「ねえシン、あんた私に合わせる為に、いつもより歩幅を短く取ってたでしょ」
「そしてかがみはオレに合わせる為に、いつもより歩幅を大きく取った」
私の言わんとしている事が分ったのか、あいつが言葉を続ける。
さすが私のパートナー、ここまで来たら私と同じ考えなはず。
「よし、試してみるか」
「うん!」
私とあいつは、何度目か覚えてないけど立ち上がった。